一般的な看護師は、医師の診察や手術を助ける診療の補助と、治療を受ける患者をサポートする療養上の世話を仕事としています。つまり、自らの判断で患者を診療し、治療をすることはできません。もし看護師の判断で勝手に診療をすれば、保健師助産師看護師法の定義から離れる事になり違法です。しかし、患者の容態が悪化したり夜間に何人も患者が運ばれて当直の医師だけでは手が足りないという状況では、医師の指示を待って動くのでは間に合いません。そのような状況で看護師が動けるようにと「特定行為に関わる看護師の研修制度」が2015年から始まりました。この制度により診療看護師となれば、限定的ですが自らの判断で特定行為を行うことが可能です。
診療看護師が行える特定行為というのは、21区分38行為と定められています。具体的には人工呼吸器を取りけている患者の様子を見て設定を変更したり、糖尿病患者に与えるインスリンの量を調整するといったことです。それらの特定行為は、あらかじめ医師や歯科医師が作成した手順書に沿って行われます。自らの判断で特定行為ができるとはいえ、手順書以上のことはできないということです。
一般の看護師よりも高度な知識や経験を必要とする診療看護師は、5年以上の実務経験を積んだ後に専門の教育課程がある大学院に進学をして卒業をすれば認定試験を受験できます。合格をして無事に診療看護師になれば、多くの診療期間では手当が出されるので収入を増やしたいのであれば挑戦すると良いでしょう。